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患者さんの立場で考える薬剤選択、
薬に対する理解が治療の継続に

 経口血糖降下薬は、患者さんに毎日きちんと飲んでもらうことが大切であるが、飲まなくてはいけないという使命感ばかりを植えつけてしまうと、食事をとらないのにSU薬を飲んでしまい、低血糖を起こすなどのアクシデントを起こしかねない。
 土井内科では患者さんに薬を処方する際には、その薬がどの臓器にどう働き、どんな作用をもたらすのかといった情報を一覧表を使って説明している。患者さんに薬を飲む目的を充分に理解させることで、「飲まされる」のではなく、「自ら飲む」という意識を植えつけている。

患者さんの経済的な負担や
インテリジェンスも考慮

 新薬が開発されると、どうしても作用を基準に薬剤を選んでしまいがちであるが、継続してきちんと飲んでもらうためには、患者さんの経済的な負担を考慮することも大切だという。
 「最近は患者さん側も薬の情報に詳しいので新薬を望まれる方も多いのですが、新しい薬は保険点数が高いため患者さんの経済的な負担も大きくなってしまいます。
 新薬を望まれる場合や、新薬が患者さんに適していると判断した場合は、そうした面もきちんと説明し、継続して使っていけるかどうかを確認したうえで処方しています」(土井院長)。
 また、高齢者になると物忘れなども多くなるため、身近に家族がいるかどうか、どういう工夫をしたら忘れずに薬を飲んでもらえるかなど、患者さんの家族構成や生活背景、インテリジェンスなどを考慮することも大切なこと。薬を飲む患者さんの立場にたって薬剤を選択することが、継続的な治療につながっていくという。

治療に前向きに取り組ませる
対話術が患者さんの
モチベーションを高める

 糖尿病患者さんはすべてが優等生ではない。療養指導を守らずコントロールがなかなか改善されない患者さんに、頭を悩ませることも多いが、土井内科では、わがままな患者さんを叱ったり治療を強要したりはしない。あくまでも患者さんの自主性を尊重しながら、治療に対するモチベーションが上がるように工夫をしている。
 「食事や運動、薬などの治療を強いられる毎日というのはとても窮屈で、患者さんも疲れているんですね。コントロールが悪いと頭ごなしに叱ってしまうと、患者さんの努力を否定し、やる気を損ねてしまうわけです」(土井院長)。
 患者さんの治療経過が芳しくなくても決して責めず、食事や運動療法のなかでひとつでも工夫したことがあれば、そこを褒めて努力を認めてあげる。ほめられると患者さんのモチベーションもあがるので、治療にも前向きに取り組んでくれるようになるという。