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②副作用

 糖質の吸収を遅らせる結果、腹部膨満感や、腸内細菌が発酵を活性化して、放屁、下痢、便秘などの消化器症状があります。アカルボースでは、劇症肝炎などの重篤な肝機能障害が報告されているので、最初の6カ月は月1回、その後も定期的な肝機能検査を行います。ボグリボースを重篤な肝硬変の患者に使用した場合、便秘によって高アンモニア血症が増悪し、意識障害を伴うことがあるため、排便状況を確認します。

③使用上の注意

 小腸で吸収されなかった糖質が、大腸の腸内細菌によって発酵されると、水素ガスが発生するので、開腹術や腸閉塞の既往がある患者への使用は慎重に行うべきです。
 副作用としては消化器症状が多く、特に放屁はアドヒアランスの低下へつながることもあります。消化器症状が出やすいことを事前にきちんと説明し、その症状は2~3カ月で治まってくることを指導します。また、1日3回まで使用できますが、1日1回からスタートし、副作用を確認しながら使用するとよいでしょう。

④服薬指導の実践

 糖質の吸収を遅らせることで、食後の高血糖を抑えるので、食直前の投与でないと著しく効果が落ちます。患者にはこうした理由を含めて、きちんと指導します。当院では、食直前の服用を忘れないよう、お箸を持つと同時に、もしくは『いただきます』と同時に服用するなど具体的に指導しています。さらに、薬をお箸置き場や、食事をするテーブルに置くなど、置く場所を変えるだけでもアドヒアランスがあがることがあります。当院では、飲み忘れた際のタイムリミットは、食事中と指導しています。
 単剤であれば低血糖のリスクは低いですが、他の糖尿病薬と併用していることも多く、低血糖時の対応はきちんと説明しておく必要があります。ショ糖の吸収も薬が抑えるので、必ずブドウ糖を携帯するよう指導します。
 食後高血糖があると心血管イベントへのリスクが高いとの報告もあります。ステロイド使用患者では、食後高血糖になりやすくなります。α-GIはインスリンを含む他の糖尿病薬との併用もほぼ可能ですが、食直前投与や低血糖時のブドウ糖の必要性などの注意事項もあるので、説明の内容を患者によく確認していくことが大切です。

表 α-グルコシダーゼ阻害薬の種類と特徴


【参考文献】

  • 1)各薬剤添付文書.
  • 2)各薬剤インタビューフォーム.
  • 3)日本糖尿病学会編,糖尿病治療ガイド2014-2015,文光堂.
  • 4)荒木栄一,ほか.糖尿病治療薬の最前線,中山書店.
  • 5)稲垣暢也編.経口糖尿病薬の新展開,フジメディカル出版.
  • 6)朝倉俊成編.糖尿病薬物療法の管理,南山堂.
  • 7)厚田幸一郎編,糖尿病の服薬指導,南山堂.